【インフラエンジニアの将来】 キャリアアップするために
私が思う結論を先に言っちゃうと、これからのインフラエンジニアは
「上流」そして「マルチ」を旗印にキャリアアップを考えるべきだと感じています。
その理由を述べる前に言葉の定義をしておきます。ここで言うインフラエンジニアとはハードウェアやソフトウェアを調達(これからはクラウドプロバイダのサービスを調達)しユーザー企業のシステムインフラをインテグレーションするエンジニアのことです。またネットワークエンジニアやストレージエンジニアなども内包しインフラエンジニアとしています。
まず、ITインフラの変遷を振り返ってみたいと思います。
ざっくりと、①大型汎用機時代 ②ネットワーク時代 ③モバイル・ビックデータ時代 に大別することが出来ると思います。
①大型汎用機時代
当時はビジネスに於けるITがカバーする範囲も限定だったことでしょう。
システムを定義・設計するシステムエンジニア、ソフトウェア開発を行うプログラマー、導入したシステムの運用・保守をするカスタマーエンジニアがいたとのこと。このころアプリケーション以外のOS やハードウェアなどのシステム管理はメーカーのエンジニアが自分たちで行っており、システム管理者と呼ばれていたようで、今のようなインフラエンジニアと呼べる職種は存在しなかったように思います。
②ネットワーク時代
この時代の特筆すべき事として「インターネット」と「ダウンサイジング」とがあるかと思います。
1995年のインターネット商用利用解禁を機にビジネスに求められるITの範囲が拡大、企業はホームページを持ち、PCが1人1台配られオフィスアプリケーションを利用しメールでコミュニケーションするのが当たり前の世界に変貌。
またソースコードで配布されるUNIXの導入、Windowsに代表されるハードウェアとOSの水平分業、またその上に乗るパッケージソフトが充実など、オープン化した背景もあり、汎用機でシステムを維持管理するのは大変高価。またベンダーにロックインを嫌ってダウンサイジングの機運が高まった。
その結果、メーカーに頼らずシステム管理ができるようになった。このシステム基盤の管理を行うのが今のインフラエンジニアだと捉えています。
ITの適用範囲拡大に呼応し、システムも複雑になりましたが一人のエンジニアがサポート出来る範囲は限られるため(中には全てを熟すスーパーエンジニアもいたとは思いますが)サーバエンジニア、ネットワークエンジニア、セキュリティーエンジニア、サポートエンジニアなる職種が出現。そしてこれらをひっくるめてインフラエンジニアと呼ぶようになったように思います。
③モバイル・ビックデータ時代
そして近年では、スマートフォン・タブレットのビジネス利用が浸透し、ITの役割はコスト削減や業務効率化の枠を超えソーシャルやビックデーターなどに代表される新たな価値創出の重要手段となりました。このことからビジネスに求められるITの範囲は更に拡大し、システムはより複雑になって来ていると思います。
ここまでを纏めると下表のようにまとめられると思います。
適用範囲 複雑性
①大型汎用機時代 低 低
②ネットワーク時代 中 中
③モバイル・ビックD時代 高 高
ここまでを見ていると、今後も益々拡大・複雑化したシステムを支えるため、更に職種も細分化されるように思いますが、注視しなければならないことがあると思っています。
それは技術革新による「抽象化」の視点です。
各種便利なツールが登場した結果、エンジニアは細部にまつわる知識が薄くても取扱うことが可能となり、生産性も向上しました。また、より多くのもの(機能)を扱うようになりました。
例えばGUIの登場によりコマンドを知らなくてもOSやアプリが操作可能になり、配布ツールの登場により多数のマシンを個別対応しなくてもよくなりました。反面、冗長化・仮想化などの新たな機能が当たり前のように求められるようにもなりました。
そしてこの抽象化は、昨今のクラウドの台頭によりさらに顕著になっているように感じます。パブリッククラウドを基盤にするのであれば、もうサーバやストレージ等のハードウェアに触ることもなくなるのですから。。
話の本題であるインフラエンジニアの将来に話を戻しますが、インテグレーターの本質的価値は、顧客の要望に対し実在する技術でインテグレーションし、その要望に応えることです。顧客視点でどのようなエンジニアを求めるかを問うてみれば、例えばネットワークのデザインもでき(上流)、CiscoのコマンドもYAMAHAやSONICのその他多種の機器に慣れ親しんだ(ディテール)エンジニアより、ディテールの知識はなくてもネットワークもサーバーもストレージも、良質なコミュニケーションで要望を引き出してくれ、クラウドやツールなど便利な手段を駆使し、要望も満たすことの出来るエンジニアが求められるのではないかと思うのです。
以上のことから「上流」そして「マルチ」を旗印キャリアアップを考えるべきだと感じています。
2014.03.14更新
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IPAがこのような報告書発表してたんですね(^^)/
クラウド時代の人材育成検討委員会報告書
http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/activity/itss_cloud_houkoku20110519.pdf