『システムインテグレーター(SIer)のジレンマ』 クラウドは既存収益モデルと相反
わたしは、エンタープライズシステム業界に身をおいて仕事をしておりますが、
多くのITベンダー(とりわけ、中小規模&インテグレーター)のクラウドへの取り組みに、どこか本気度を感じられません。
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ITproに同様のことが掲載されているのを見つけました。
『クラウドへのシフトはユーザーが先行、後れを取る中小IT企業 』
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20120524/398841/?ST=selfup&P=1
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先日、IBMのクラウド担当の方と会食をした際に、その要因について示唆を受けました。
結論から述べると「インテグレーターの既存収益モデル」と「クラウド」の相性が悪い。つまり、クラウドへシフトすることによって不利益を被るということです。
では、どの様な不利益が発生するかということですが、次の2点だと思います。
①売上げ・利益の減少。
②ユーザーをロックイン不全。
まず売上・利益の減少についてですが、例えば、あるシステム基盤を1億円の予算で受注するという案件があったとして、これまでの収益モデルと、クラウドを選択したケースの違いを考察してみます。
既存収益モデルのケースでは次のような内訳けとなり、導入が完了した時点で検収→入金となります。
あ)ハードウェア 5千万
い)パッケージソフトウェア 3千万
う)導入サービス 2千万
これが、クラウド利用を前提とした場合、
あ)い)はIaaSにとって代わるため、その月の利用料しか入って来ません。
つまり、既存収益モデルは、5年間(償却期間仮に5年とする)に掛かる費用を先取りするモデルであったことになります。
また、この5年間はユーザーをロックインしたことにもなりますが、クラウドを選択されると5年以内(極端な例を挙げると数か月)で他に鞍替えされることも考えられます。